パラリンピックと放送

ロンドン・オリンピックに続きパラリンピックが開催される。
僕は、もともと皆で右向け右、みたいな盛り上がりを不得手とするのですが
オリンピックは普通に楽しんだし日本の選手の活躍する姿に感動した。
そして、実は僕が今回のオリンピックで本当の意味で一番感動をもらったのは
陸上の男子400メートル準決勝で、南アフリカの25歳、義足ランナー
オスカー・ピストリウスの走る姿だった。
生まれつきの障害で両足を膝から下を切り落とし、
それでも義足をつけて活躍するその姿をご存知の方は多いと思う。
彼は今までにパラリンピックで、金メダル4、銅メダル1を獲得し
今年3月に400メートルの五輪参加標準記録A(45秒30)を突破する45秒20を出し、
ついに念願のオリンピック出場を果たしたんだ。
出場を決めるまでには、記録だけでは無い戦いがあった。
国際陸上競技連盟の「弾力性のあるカーボン繊維製の義足では通常の大会への出場を認めない」との判断に
スポーツ仲裁裁判所に提訴して勝訴した結果勝ち取った出場だ。
もちろん僕にはこの義足の使用が、本当に公平な競技に適正なのかどうかはわからない。
ただ、映像として、世界最高の筋肉を両足に持ち合わせたアスリートたちに混じって、
義足の両足で堂々と走る彼の姿に、ともかく感動してしまった。
そしてスタジアムを埋めた大勢の観客も、堂々最下位の彼に惜しみない拍手を、
間違いなく敬意を込めて!送っていた。

・・・そう、これだ!話は飛ぶが、
会場でイギリスの市民は熱狂的に「イギリス、イギリス!」と国名を叫ぶのではなく
「TGB(チーム・グレート・ブリテン)TGB!」とチームと選手を応援したと聞く。
朝日新聞記事から・・・
これは「五輪は国と国との戦いではなくチームとチーム、個人と個人の戦い」と記している五輪憲章を、
成熟した都市が理解していたからだと思う。・・・
記事はこの後、日本は未だこの五輪憲章を理解していない、理解して20年の五輪招致を目指していない、
依然「箱物」に依存した招致をしようとしている、と苦言を呈している。
僕は同感だ。

話を戻します。
パラリンピック、そう、パラリンピックが開幕する。
毎回オリンピックが終わると、本祭は終わりましたというような雰囲気が流れて、
(何でもっともっと見たい、見てほしい、特に子供たちに見てほしい、パラリンピックなのに、残念だなあ・・・)
と思っていたし、(今回も同じようなんだろうな・・・)と・・・・。
その違いの大きな理由は「放送」にあるのではないか?
ご存知のようにオリンピックでは多くの競技が放送されるが、
今回は特に、NHKは総合、Eテレ、BS、そして民放各社、さらにはネットでの配信と、
今までに無い多くのメディアで膨大な時間取り上げられ、競技への関心、盛り上がりの主導を担っていた。
それに対しパラリンピックはどうなんだろうか?
調べてみた。
NHKはパラリンピックの期間中(8月30日~9月1日)に、
放送を各日に、総合では15時~16時前の1時間弱、Eテレで20時~21時前の1時間弱、たった日に1時間弱づつ、
更にBSにいたっては無い(らしい)!
民放はほとんど見当たらない。
勿論パラリンピックは一般からすると、オリンピックに比べて関心は低く、視聴率は当然比べるべくも無い。
広告放送を行っている民放が、取り上げることが少ないのは、当然理解できる。
しかし、公共放送、こういうときにこそ、公共放送のあるべき姿、使命が示されるものではないのでしょうか。
そして心から感動するシーンを一人でも多くの人たちへ、
特にこれからの担う子供たちに、一人でも多くの子供たちに、触れるチャンスを
作ってほしいものだと思うばかりでありまする。

それが
成熟した都市が築かれる礎の一つ、大きな一つになるのではないのかな。

今回の一言:Mr.ビーンときたら次はモンティ・パイソンでしょうが。