コラムン92:「恋に落ちて」その前夜

前に「ルビーの指輪」その後を書いたので、
今回はこれ。

娘がカラオケに行った。
休日の昼間中学の友達と行く。
僕はカラオケにはまったく行かないので
よくわかってないが
昼間は千円程度で
時間制限なくて飲み物もアイスクリームも食べ放題らしい。
で、聞くところによると、
最近は昭和の歌を歌っているらしい。
フィンガー5の学園天国とか
キョンキョンの曲とか、山口百恵のとか
いわゆるニューミュージックの曲とか。
最近ミュージックステーションなどで
昭和歌謡の映像がよく流れるようで
どうもブームらしい。
で、小林明子の「恋に落ちて」を友人が歌った。
♪ダイヤル回して手を止めたー♪
のところで皆でダイヤルって何じゃ?回すって何じゃ?
となったと。
ま、友人と話してなんとはなくわかったようだが、
帰宅後改めて娘から質問された。
そんじゃあと、皆が揃う、夕食の場で説明した。
かつて使われていたダイヤル式電話機の事を。
そして話しながら、この曲にまつわる事も思い出したので、
続いて家族に話した、今回はその話。

 これまた僕がレコード会社時代の時。
ある日先輩のディレクターがニコニコしつつ、
汗かきながら熱っぽく
「おいおい、このデモテープ聞いて」
と話しかけてきた。
それは一本のカセツトで
聞いてみるとカーペンターズのカバーが数曲と
それに似たオリジナル曲が数曲
録音されていた。
驚いた、いや、本当に、
そこに録音されていたのはまさに
カレン・カーペンターの声なんだ。
音作りも兄のリチャード特有のアレンジで。
でも名前を見るとそこには
「小林明子」となんだか古風な名前が・・・。
先輩は「ねっ!凄いでしょ!」
で、彼はこのまだ良くわからない新人を使って
カーペンターズのカバー作品を作ろうと考えていたらしい、
いわゆる企画物だ。
で、凄い凄いと騒いでいた僕たちのところに、
黒ふちメガネの上司がやって来て
「すごい、この子、単なるカレンの物まねではなく、
このオリジナル曲どう思う?」と。
確かにリチャードの作風を真似てはいるが
曲そのものの力量がある、
逆にカーペンターズ風にしているから
本来ある作曲の能力が隠れているというのかな。
で、急遽、彼女に何か曲を書いてもらい
レコーディングしてその真を問うてみよう、
ということになり
僕がその時に制作してたアーティストのアルバムに
彼女に急遽依頼して1曲入れることにした。
これが彼女の作曲家としてのデビューと
レコーディング初挑戦だった。
それから間もなく、先輩の制作、
彼女の曲、そして湯川れいこさんの詞による
「恋に落ちて」が作られ、大ヒットするわけだ。
その後、僕が業界から離れてからの話だが
カレンを亡くしたリチャードのプロデュースで
彼女はアルバムを出したはずだ。

で、この話を聞くとはなしに聞き終わった娘と息子が
「『回る』で思い出したぞ!
いつ回転寿司に連れて行ってくれるんだ!」
そう、僕はカラオケは勿論行かないし
寿司だって回転しているのが許せなくて
当家の子供たちは今まで生まれこのかた、
回転寿司に行った事がない。
で、そのうちそのうち、と先延ばしに伸ばしてたんだが、
今回は寝た子を起こしてしまった。
今週末行くことになった。

今日の一歌:
♪イクラを回して手を止めたぁぁー♪
I'm Just in SUSHI・・それは高いんだ~♪

PS
ここに登場する上司と先輩ディレクターは
前に書いた、僕が尊敬する
プロデユーサーとディレクターその人です。

ミュージック・エア情報:
イエスが来日する。
15日(日)は来日記念
「シンフォニック・ライヴ」13時半~
始めライブの3連発!!!
プログレファンは物好きと言われてもいい、
そうなんだから・・・僕は違うけれど。
http://www.musicair.co.jp/recommend/?id=570