村上春樹の新刊 ・恋しくて - TEN SELECTED LOVE STORIES

村上春樹の書下ろし短編小説「恋するザムザ」を含む
10編のラブストーリ。
9編は彼自ら選んで訳した翻訳もの。
なんだって。
http://www.amazon.co.jp/%E6%81%8B%E3%81%97%E3%81%8F%E3%81%A6-TEN-SELECTED-LOVE-STORIES/dp/4120045358/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1379052717&sr=1-1&keywords=%E6%9D%91%E4%B8%8A%E6%98%A5%E6%A8%B9

待ち遠しいのですね。
で、本件とは直接関係ないけれど翻訳も関係する話。
先日朝日新聞で(今回もまた新聞ネタ)
「カタカナ語の増殖」というタイトルで
「NHKのテレビ放送で分かりにくい外来語が多用されたとして、精神的苦痛を訴えた男性がいた。
確かにカタカナ語は増えているが、今の時代なら当たり前……なのだろうか。」
というテーマでの記事で3人の論客が語っていた。
http://digital.asahi.com/articles/TKY201309030659.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201309030659
ダイジェストに書くと
・フランス語の未来協会長のアルベール・サロン氏は
過剰な英語化、無味乾燥だと。
・筑波大学教授・津田幸男氏は
「言語法」で日本語を守れと。
・クリエーティブディレクター・岡康道氏は
取り込んで、面白がろうと。
まあ、言葉の真価はそれぞれだろうし
歴史が判断することでもあると思うのだけれど
私としては
アルベール・サロン氏と津田幸男氏の主張するところの
日本語を守るという考え方に賛成だ。
が、面白いなと思ったのは
津田先生のコメントの中に
「しかし、現状は野放しです。洋画の題名も訳書の書名も外来語だらけです。
なぜ『ライ麦畑でつかまえて』の新訳が『キャッチャー・イン・ザ・ライ』になるのか。」
とあった。
・・・これって、村上春樹の訳本のことじゃないか・・・とすぐに思った。
でもね、先生、でもですね、
こればかりは逆だと思うんです。
よく言われていることですが
やっぱり原題『キャッチャー・イン・ザ・ライThe Catcher in the Rye』を
『ライ麦畑でつかまえて』と訳すのは
聞こえは良いがいくらなんでも意味が逆という事だよね。
この訳は1964年の野崎孝訳でこうなったことは知られているが
その後の1967年に繁尾久対訳で『ライ麦畑の捕手』
と正しく訳されたことはあまり知られていないと思う。
で、それを
2003年の村上春樹が『キャッチャー・イン・ザ・ライ』と表記したという流れ。

話は戻るが
村上春樹もきっと日本語を守るというか
日本語というそのもの事を本当に、真剣に考えているから
・・・・今更私が言う事でもないか、これまた・・・・
今回のタイトルが
「恋しくて - TEN SELECTED LOVE STORIES」
となったんではないのかな。

That's学:
ビートルズの
「Norwegian Wood」を「ノルウェーの森」と訳すのは間違い。
正しくは
「ノルウェー木材家具」


今回の一言:
歯を治療していて舌噛んじゃって
正しい日本語が話せない、今日この頃。
・・・治療前から正しくなかったか・・・