青春と芸術:正倉院展&日本の名随筆:青春(椎名誠編集)

仰々しいタイトルでありますが
話の筋はある。

先日のNHK日曜美術館で
奈良国立博物館学芸部長の西山厚さんが
開催中の「正倉院展」のコメンテーターで出演していた。
http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2013/1103/index.html
この方は毎年この時期に開催される正倉院展に合わせて出演されているが
毎回、本当に愛情と自信にあふれたコメントをされるので、大好きだ。
今回、その中の発言で
日本の芸術史上において、この天平時代と近年の明治時代が
もっとも日本という国が国家を上げて芸術を育て発展させた誠に羨ましい時代である。
さらに、天平の時代はまさに日本の芸術にとって「青春時代」である。
青春時代とは本人がそれと自覚しなく、また苦難と錯誤が繰り返されて育っていく
素晴らしい時代なんだ、と。
そうした人としての青春時代を比喩にして
誠に的確な表現をされていた。

そんな素晴らしい発言に出会って、(そういえば本棚にまだ読んでいない青春の本があったな)と
この連休、天気も雨がちだったので、改めて探し出して読んだ。
「青春 (日本の名随筆) :椎名 誠 (編集)」
http://www.amazon.co.jp/%E9%9D%92%E6%98%A5-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E5%90%8D%E9%9A%8F%E7%AD%86-%E6%A4%8E%E5%90%8D-%E8%AA%A0/dp/4878938609/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1383632229&sr=1-1&keywords=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E5%90%8D%E9%9A%8F%E7%AD%86%EF%BC%8D%E5%88%A5%E5%B7%BB40

この本は、20年ぐらい前の物だが
椎名誠が編者になって、2,30人ぐらいの著名な作家の記した青春に関するエッセイをまとめている。
筒井康隆、山下洋輔、東海林さだお、沢木耕太郎等々。
すべて素晴らしい青春談義ではあったが、特に素晴らしかったのは
野田知佑の記した一文だった。
野田は若き頃、北欧を旅した、そこで、出会う北欧の大人との会話から・・・
これからどうするのか?どういう大人になりたいのか?という内容の話になって
北欧のその大人は「今からそんなことは決めなくてよい、青春時代に選択肢を狭めてどうするのか。
今は、わからないままに、一つでも多くの経験、仕事でも勉強でも、その経験から導き出された道が
君の進め来道だ」という内容のことを語られる。
野田の書くこの内容は、まさに青春の時代のあるべき指針ではないのかなと、納得してしまった。

ということで話は戻るが
天平の時代、青春時代、芸術とは何か、どうあるべきか、などと決めつけるのではなく
がむしゃらに経験し突き進み学び、そこから作られた素晴らしい芸術が
正倉院に保存されているという事。

さあ、明後日見に行くぞ!!!


今回の一言:
ルーブル美術館は入場料無料の対象に『失業者、生活保護受給者』があると知った。
「美は余裕のある人たちのためだけにあるものではない。
困難にある人ほど、文化を通して苦しい境遇以外のことに思いをはせる時間が必要だ」
ということだと。